伏せの考え方
伏せの基本は、 受けに使いにくい駒や、 上がったときの点数が低い駒を 伏せることです。 ただし、いつも同じ優先度で 伏せればよいわけではありません。
相手が何で攻めているか、 味方がどこでパスしたか、 攻め駒が手の中に多すぎるかによって、 伏せるべき駒は変わります。 そのため、このページでは まず基本の優先度を確認し、 そのうえで例外や実戦での判断を整理します。
このページの伏せ方は、 あくまで判断の目安です。 実戦では、他のプレイヤーの攻め駒、 パスの状況、味方の反応によって 優先度が変わります。
伏せの優先度
まず、何を伏せるかを考えるときの 基本の優先度は、 次のように考えます。
左にある駒ほど伏せ候補になりやすく、 右にある駒ほど伏せにくい駒です。 特に、 し と 馬 は伏せ候補になりやすく、 香 と 王玉 は基本的に伏せにくい駒です。
駒ごとの伏せ方
しは一番伏せやすい
しは 一番伏せやすい駒です。 枚数が多く、 上がったときの点数も低いため、 迷ったときの伏せ候補になりやすいです。
ただし、いつでも しを 伏せればよいわけではありません。 相手がし攻めを している場合、 しは 守りのために重要になることがあります。
敵方がし攻めを している場合
敵方がしで攻めていて、 味方がそれをパスし、 さらに敵方の相方が しに呼応した場合、 しは かなり貴重になります。 この場合、自分が しを持っているなら、 極力伏せないほうがよいです。
一方で、味方が しをパスしていない場合や、 敵方の相方が しに 呼応していない場合は、 しを 伏せてもよい場面があります。 しが必要かどうかは、 相手ペアがし攻めを 本当に通せそうかで判断します。
攻め駒が飽和している場合
しを伏せる 優先度が下がるもう一つの場面は、 攻め駒が多すぎるときです。 たとえば、次のような手駒です。
例: しし馬銀角角飛飛
Turn Flow
攻め駒が飽和している例
プレイヤーAは「しし馬金角角飛飛」という手駒です。攻めは3回ですが、4枚強力な攻め駒があります。攻め駒が多すぎる場合は、飛や角を1枚伏せて、受けを広くすべきです。
攻め駒が飽和している例
馬は 伏せの筆頭候補
馬は 伏せ候補になりやすい駒です。 上がったときの点数が20点で、 低めだからです。
ただし、 馬を伏せると、 相手に馬で 攻められたときに 受けられなくなる可能性があります。 「伏せやすい駒」だからこそ、 そこを突かれることがある点には 注意が必要です。
金銀は受けで重要
金と 銀は、 受けにおいて非常に重要な役割を果たします。 中駒での攻めは実戦でよく出てくるため、 金・ 銀を 残しておくことで 受けの幅が広がります。
大駒は点数が高いが、 受けられる可能性は低め
大駒 (飛、 角)は、 上がれば40点になる高い駒です。 そのため、 できれば攻めや上がりに使いたい駒です。
ただし、同じ駒が2枚しかないため、 受け駒として使える可能性は 中駒 (香、 馬、 銀、 金) より低めです。 攻め駒が多すぎるときは、 飛・ 角を1枚伏せて 受けを広げる判断もあります。
香は 基本的に伏せない
香は、 基本的には伏せないほうがよい駒です。 ごいたにおいて 香は 非常に重要です。 もし相手が 3香を 持っていた場合、 自分が香を 伏せただけで、 敵方の上がりがほぼ確実に なってしまいます。
香は 点数が20点と低い駒ですが、 点数だけで伏せてはいけません。 受けとしての価値が高い駒なので、 慎重に扱います。
王玉は伏せない
王玉は伏せません。 受けとしても強く、 終盤の待ちとしても強いため、 伏せるメリットがありません。
特に王玉を 持っていると、 3枚目の受けを伏せる場面で 高い点数を狙いやすくなります。 伏せるのではなく、 最後の受けや上がりの形に 使うことを考えます。
点数と受けのバランス
伏せで難しいのは、 受けを広くして点数を下げるか 、 受けを狭くして点数を上げるか の判断です。
受けを広くすれば、 相手の攻めに対応しやすくなります。 しかし、低い点で上がる形に なりやすくなります。 反対に、高い駒を残せば 大きな点を狙えますが、 受けが狭くなり、 相手の攻めに対応できなくなることがあります。
例1: しし馬銀金角飛玉
Turn Flow
点数と受けのバランスの例
プレイヤーAは「しし馬銀金角飛玉」という手駒です。終盤で、受けを狭くして高い点数を狙います。
点数と受けのバランスの例
この棋譜では、
終盤に残す2枚をどうするかが問題になります。
たとえば、
し玉
で待つのか、
銀玉
で待つのかで、
点数と受けの広さが変わります。
し玉
で待てば受けやすくなりますが、
点数は低くなる可能性は高いです。
銀玉
で待てば高い点を狙えますが、
し攻めされると
上がれなくなる可能性が出てきます。
例2: し香香香銀角角王
Turn Flow
点数と受けのバランスの例2
プレイヤーAは「し香香香銀角角王」という手駒です。受けを狭くして、高い点数を狙います。
点数と受けのバランスの例2
たとえば、 最初に駒を受けて、 香で 攻めたとします。 次にどうするかで、 方針が分かれます。
角を伏せて 香で進める
角を伏せて 香で進めると、 10点または40点で上がる可能性が 高くなります。 安定して上がりに近づきやすい方針です。
しを伏せて 角角を狙う
しを伏せて 香で進めると、 角角で上がる可能性を残せます。 うまくいけば80点を狙えますが、 相手からし攻めが来ると 失敗しやすくなります。
このように、伏せは 「上がりやすさ」を取るか、 「高い点数」を取るかの選択でもあります。
棋譜を見ると、 80点上りを狙いました。そして、 相手が2枚目の 香を受けて、 もう一度銀を出しました。 そのため、 王で切り、 最後の香を出し、 角角で80点上りとなりました。 仮に、80点が失敗しても、 40点で上がれる可能性があるので、 非常に強力です。
例3: しし香角角飛飛玉
Turn Flow
点数と受けのバランスの例3
プレイヤーAは「しし香角角飛飛玉」という手駒です。受けを狭くして、高い点数を狙います。
点数と受けのバランスの例3
この手は、 角角と 飛飛があり、 攻め駒がかなり強い形です。 ただし、強い攻め駒が多いからといって、 すべて攻めに使えるとは限りません。
攻め駒が過剰なときは、 あえて飛・ 角を伏せることで、 受けの幅を作る判断があります。 強い駒を残すことだけでなく、 何で受けられる形にするかも考えます。
棋譜を見てみると、 Bは3枚目の受けに 角を伏せて、 角で攻めました。 受けを広くした形です。 そして、 玉で受けて、 し10点であがりました。
しかし仮に、 Bが3枚目の受けに しを伏せて、 角で攻めたら、 玉で受けて、 角40点で あがっていました。
このように、 角に 受けの力はありませんが、 あがり40点としての役割はありました。 点数と受けのバランスは 絶妙に難しいのです。
先にリーチをかけるか、 ゆっくり進めるか
攻め駒で強く攻めるということは、 自分がリーチに近づくということです。 一方で、攻めるほど手駒は減り、 受け駒も減っていきます。
そのため、強い手でも、 すぐにリーチまで走るべきか、 ゆっくり進めて 相手の攻め駒をつぶすべきかは 局面によって変わります。
例: しし香金角飛飛王
Turn Flow
ハイペースかスローペースの例
プレイヤーAは「しし香金角飛飛王」という手駒です。今回はゆっくり進めて、駒を伏せるのを少なくします。
ハイペースかスローペースの例
リーチまで走る
飛飛角を攻めで出し、
リーチまで走る方針です。
伏せは
し、
馬、
し
の順にして、
香王
で待つ形が自然です。
ゆっくり進める
まず角で攻め、 相手が受けて攻めてきたら、 持っている駒や 王で受けます。 その後、 飛飛で攻めて 相手を揺さぶる方針です。
棋譜はゆっくりのスタイルで すすめています。 まず、角で攻めて、 その後、駒を受けて、 飛飛で強く攻めます。
もし、 飛飛角で攻めて、 香王で待っていたら、 し攻めされる 可能性もありました。
どちらが必ず正解というわけではありません。 早くリーチをかけて相手を揺さぶる打ち方もあれば、 ゆっくり相手の攻めを見ながら進める打ち方もあります。 自分の好きなスタイルや、 味方との相性に合わせて選ぶとよいです。
何枚目の受けを伏せるか
伏せは、 何枚目の受けを伏せるかによって 考え方が変わります。 ここでは、1枚目、2枚目、3枚目に 分けて整理します。
1枚目の受けを伏せる場合
1枚目の受けを伏せるのは、 親の初手のみです。 まだ場の情報が少ないため、 基本の伏せ優先度に従って考えます。
多くの場合、 し を伏せるのが自然です。 ただし、手の中で 攻め駒が飽和している場合や、 香を どう扱うかが重要な手では、 し以外を 伏せることもあります。
2枚目の受けを伏せる場合
2枚目の受けを伏せる場合は、 残りの4枚に しを 残すかどうかを基準に考えます。 終盤にしを 残しておくと、 相手のし攻めに 対応しやすくなるためです。
そのため、2枚目では、 しを伏せるだけでなく、 中駒や大駒を伏せることもあります。 特に、 馬は この場面で伏せられることが多い駒です。
3枚目の受けを伏せる場合
3枚目の受けを伏せる場合は、 王玉を 持っているかどうかで 大きく変わります。
王玉がある場合
王玉がある場合は、 積極的に高い点数を狙ってもよいです。 しを伏せて、 適当な駒を攻めで出し、 最後に王玉で受けて 30点や40点で上がる形を狙えます。
王玉がない場合
王玉がない場合は、 慎重に盤面を見極める必要があります。 相手が出してこなさそうな駒を 伏せるしかありません。 高めの駒で攻めることで、 味方に 「王玉を持っていない」 ことを伝える打ち方もあります。
まとめ
伏せの基本は、 しや 馬を伏せ候補にし、 香や 王玉を なるべく伏せないことです。 ただし、これはあくまで基本形です。
実戦では、 敵方の攻め、味方のパス、 攻め駒の多さ、 点数を狙うかどうかによって、 伏せるべき駒は変わります。 伏せは、受けの広さと点数の高さを 調整するための戦略として考えると、 判断しやすくなります。
参考: 能登ごいた保存会|公式ルール
伏せ方の評価や戦略は、 執筆者1222の実戦経験をもとに整理しています。